読後感想『すぐやる!』-スモールステップいろいろある

『すぐやる!』(菅原洋平著、文響社)
サブタイトルは「行動力」を高める”科学的”方法。

最初にちら見したときに、以前から読んでいるスモールステップに関しての内容だよねと、特に軽い気持ちで読み始めました。
しかし、作業療法士としての職業やそれに関わる体験の例によってなど、スモールステップへのアプローチがいろいろあるのだなと知りました。

例えば食欲の沸かない患者に対して、一度に料理を出すのではなく小出しに出すことにより、脳が処理する情報を減らすこと。
または、脳梗塞で半身が動かなくなった患者に対して、動かない状態を「鎧を着ている」などの感覚的言葉で脳に認識させてあげるなど。

この著者の場合は、どのように「行動力」を具体的に表すかという前に、その「行動力」を発揮できるための、脳の状態を最適な環境に置くかということを重視しています。

するべき行動や習慣を、自分ではなく自分の脳が「すぐできる」ように準備することが大事であると言ってます。
あくまで行動において、「自分」と「自分の脳」は別の存在ということですね。

何かをやるには、「自分」の意志力を強引に引き出すというわけではなく、いかに「自分の脳」にとって楽な環境を与えることが実際に行動力を高めることに繋がります。

できないのは自分のせいではない
自分の脳に余計な負担をかけているだけ。

脳をその気にさせることを妨げているのが原因のひとつです。
こういう考え方で捉えると、かなり気持ちが楽になりました。
自分の意志力の強弱は無関係になりますからね。

そして、できない理由は「脳が疲れている」からとも言ってます。
その理由なら改善することはシンプルですね。
脳の疲労感を解消すればよいだけですから。
自分の気合を入れる前に、脳が動いてくれる状況を整えてあげるのです。

やはり避けられないのは、充分な睡眠時間の確保。
主観的にしっかりと睡眠を取れたかどうかは、目覚めてから4時間後の体のコンデションでわかるようです。
一日でもっとも脳が活性する時間に、疲労感を感じているようでは睡眠不足ということになります。

他には、脳を動き出すように最初の一歩を与えてあげること。
これは、スモールステップを提案する他の本でも、よく言われていることです。
ただし、能動的な動き以前に、受動的な受け身の段階でも影響を受けているということが強く印象に残りました。

脳は他人を真似しようとするため、自分の目的にとってプラスとなる対象を見るかどうかが大切になります。
脳は良い悪いを判断せずに、ただ真似しようとするだけ。
ですから、何を見せるかの判断は自分の選択が関わってきますね。
先程述べたものと同じように、脳が「すぐやる!」環境を自分が整える。
その整った状況で、脳に行動させるということになります。

正しい方向へ自動的に、無意識に脳をはたらかせるには、そうなるように直前の行動によって脳が予測できるようにする必要があります。
この状態の脳を「フィードフォワード型の脳」というようです。
気持ちの切り替えに関係なく、脳が予測して行動につながってくれるのが大切。

やみくもに行動のための一歩を促すのではなく、取るべき方向へと予測する。
これができていないと、せっかく脳を働かせて行動ができたとしても、意味がなくなります。

あと、五感において「触感」が脳にとって大きく影響を受けることも語っています。
作業療法士としての立場からのスモールステップへの脳の導きは読んでいて、いろいろと参考になりました。